第9章 派手男と雌狸の過去がヤバイ件について
「………ごめんね。」
「何がだよ、モルヒネでも何でも
今はそれだけでも派手に嬉しいんだ。」
私の気持ちのこもった”ごめんね”は
いつになったら届いてくれるんだろう。
そして私が”自分の存在価値”を
セックス以外で認めるためには
これ以上何を頑張れば良いんだろうか。
「俺より派手な色男は中々居ねぇと思うぞ。」
「………知ってるよ、そんなこと。
けど私だって天元に”人”として
恩返しをしたいの…。駄目なんだよ。」
毎日笑っていて欲しい。
誰よりも幸せになって欲しい。
私を救い出してくれたのは
目の前のこの人で
私が1番安心できるのは天元の隣。
だけど、何でかな
なんでもしてあげたいのに
私は天元を男性として見たくない。
重ねすぎた身体はやたらしっくり来て
まるで日常みたいで、安心するのに
本当にそれしか無いんだ。