第1章 俺の友達が少ない件について
「あーあー、全校生徒のみなさーん
聞こえますか?コレで表彰式は終わりです。
玄弥の兄想いの優しい心に拍手っ!!
強面だけど本当に優しい照れ屋さんです!」
俺たちの後ろでの景気のいい声と
馬鹿でかい拍手が沸き起こる。
「それから、弟への優しさを拗らせた
不器用な我が校のブギーマンにも拍手っ!!
優しいツンデレお兄ちゃん!良いねっ!!」
兄ちゃんへの微妙なフォローまで加えて
パフォーマンスの様に声を上げるは
きっと楽しそうに笑っているんだろう。
「で、最強女子高生ちゃんに
拍手喝采っ!!いやー、どうもどうもっ!!
今月の空手通信に私の勇姿が乗ってるから
良かったら買ってねぇ!!360円っっ!!」
馬鹿のように茶化して
上手いこと自分に目を向けさせたのは
丁度俺たちが生徒を横切る瞬間だった。
何もかも乗っ取った様なそんな一連の流れは
きっとここまで予想して計算してたんだ。
なんて思うようなそんな感覚にさせられた。
「こりゃ峰不二子をド派手に超えたなぁ。」
「………本当に面白い娘だな。」
「(おお、すげぇな遠隔で煉獄を落としたぞ。)」
「…さあ、収集を付けるぞ宇髄!!
こちらも惚けてはおれんっ!!!」
「あいよ。」
体育館の中からは宇髄先生と煉獄先生の声が
聞こえてくる。事の収集をつけているんだろう。
体育館から出た俺と兄ちゃんの耳にも
それはしっかりと聞こえてきていた。