第1章 俺の友達が少ない件について
「……玄弥は本当に優しいね。」
「俺がいけないから兄ちゃんを責めないでくれ。」
「……んな事言ったら意味がっ!!」
微笑むに何故だか申し訳なくて
それでも兄ちゃんが責められるのは嫌で
混乱して涙を流していると突然兄ちゃんが
焦ったように叫んでから”しまった。” と
言うあからさまな顔をした。
「あれ?どんな意味があったんですか?」
「……ねぇよ!!気に入らなかっただけだ!」
「意味も無く兄ちゃんはこんな事しねェっ!!」
「玄弥っっ!!余計なこと言うんじゃねェっ!!」
その顔にやっぱり何かしらの意味があったと
勘ずいたので必死でそれを証明しようとした。
きっともそれを気づいてくれて
もうこれ以上責めるつもりは無いのだろう。
その証拠にニコニコといつもの顔で微笑んでいる。
「ふふ、兄弟には兄弟にしか
分からないこともあるもんね。」
「、俺めっちゃ嬉しかったけど
………兄ちゃんも嫌われて欲しくねぇんだ。」
「うん、私もやりすぎた。
何も知らないのにごめんね。」
「……俺も…怒鳴ってごめんな。」
「…玄弥ァ…男が人前で泣くんじゃねェ。」
そんな会話を静かな体育館で交わしてから
俺は兄ちゃんに首根っこを掴まれて
ステージからズルズルと引きずり降ろされた。