第8章 俺は色々と悩ましい件について。
「……あの……チャイムが。」
「……今、俺が質問してんだよ。」
確かにチャイムが鳴ったが
今はコイツを逃がすつもりにはなれない。
そして多分俺は、教師云々の前に
この話がずっと気になっていた
”完璧な理由”の核の部分だと分かったので
何がなんでも聞き出してやろうと思う。
「先のことも考えて出来るだけ
レベルの高いところに行きたいです。」
やっぱりコレが”完璧の理由”だ。
俺の質問の本当の理由がおそらく
分かっているのに今確実に
気まずい顔をして上手にはぐらかした。
「……だから、それは何でなんだァ。」
散々こっちも悩んだのだから
尻尾を掴んだ今は絶対に逃がさない。
そんな事を思いながら問い詰めると
小さくため息を吐いたは
真っ直ぐ前を向いて無機質に喋りだした。
「いい大学を”最高の形”で卒業してからの方が
世間に名前を残しやすいからです。
そしたら全ての事が”美談”になりますから。」
観念して吐き出した”完璧の理由”は
どうやらコイツの過去を打ち消す為らしい。
コイツはいったいどこまで成功して
それを成し遂げようとしているのだろうか。