第8章 俺は色々と悩ましい件について。
「そうなんですが…。
仲良くしてくれてる人が
通信制の高校へ転入するの進めてくれてて。
たしかにソレでも大学は行けるので………。」
なるほど確かにその手もある。
にとってこの学校がもしも苦痛なら
それも1つの選択肢ではあるだろう。
通信制の学校なら訳ありでも年齢がズレてても
入りやすいし、コイツなら問題ないだろう。
それに従っても
この学力なら普通に大学も入れるだろうし
”単純に大学に行く”のなら問題は無い。
「けど、大学はお金かかるので
スポーツ推薦が1番良いって思うんですよね。」
これも確かに道理が通っている。
親が居ないコイツにとって大学への進学は
”金”の問題が付きまとうのは仕方ない。
スポーツ推薦ならその点は
かなり優遇されるし寮費無料何てのも
場所によっては見つけることも出来るだろう。
理屈的にはもうソレがこの学校に
居る意味なのだが、コイツは俺に
肝心な事を言っていないので
教師として真面目に考えて答えはまだ出せない。
「……。お前はなんでそんなに
大学にこだわるんだ?…その理由次第だ。
どのレベルに行きたいかによっても話は変わる。」
大学に行きたいのはよく分かったが
結局その理由とどんな大学に行きたいかは
全くコイツの口からは聞いていない。
さっきのお詫びという訳では無いが
生徒が真面目に悩んでいるなら
こっちも向き合ってちゃんと
教師として答えるのが道理だろう。