第1章 俺の友達が少ない件について
「顔はめちゃくちゃ怖いしモヒカンだけど
実は優しい玄弥に私は何時も助けられています。」
「………っ。」
今度はまるで母親のように優しく笑って
そんな事を言うものだから
うっかり目からポロポロと涙がこぼれ落ちた。
俺は認めて欲しかったんだ。
勉強は頑張っても人並みだけど、
こらなら皆にも勝てるって頑張ったから
本当は兄ちゃんにも安心して褒めて欲しかった。
「なので、そのお礼として私の賞状を
破り捨てられた”努力”の変わりに
玄弥に贈りたいと思います。いつもありがとう。」
「………何してんだよ……ほんと。」
どういう理屈かは知らないけれど
なんでか差し出された賞状を受け取ってしまい
それがとても嬉しかったのは何故なのか
落ち着いてから考えても結局よく分からなかった。
「ふふっ、どう?私、かっこいでしょ?
玄弥も負けないくらいかっこいいよ。」
今度はそんな事を小さな声で囁いてから
マイク抜き取ったは俺の後ろ側
丁度ステージの真ん中辺りで、まるで
パフォーマンスの様に叫び出した。