第1章 俺の友達が少ない件について
「……ち”っ!!………。」
「………え、えぇっ!?…な…何でだよ…。」
その音が鳴り出した数秒後
兄ちゃんは大きな舌打ちと共に賞状を破り捨て
見事な悪人面で見下したように笑っている。
「こんなもん頑張る前になァ、
当たり前の勉強しやがれこのカス野郎。」
「………っ………。」
きっと数学のテストの点数が悪かったのだろう
そう言い放った兄ちゃんはパラパラと
破いた賞状を捨ててから目の前から消え去った。
「………。(死ぬほど恥ずかしい………。)」
なんとも言えない羞恥心を感じで
俺はその場で立ち尽くす。
なにも全校生徒の前でこんなことをしなくても
流石に良いだろう……久々に兄ちゃんが
憎たらしく感じてきて拳を握りしめた。
「………不死川玄弥っ!!」
「………?」
何も出来ずに下を向いていると
ガタガタと足音がしての声が聞こえた。
顔を上げるといつものように笑って
自分の賞状を掲げている姿が目に入る。
「貴方が友達で居てくれて支えてくれたので
私はこの賞状を手にすることが出来ました!!」
「………お前…何やってんだ?」
大きな声で楽しそうに叫ぶ姿は
まるで助けに来たヒーローの様に見えた。
俺はその衝撃で思わず羞恥心がふっとんで
その姿を食い入るように見つめる。
こんな状況なのに体育館は静まり返っていて
今は実は2人きりなんじゃなか?と
変な錯覚まで起こしてしまいそうだ。