第1章 俺の友達が少ない件について
「……早く終わんないかな。」
「お前毎回それ言うよな。」
「何で3回も登らないといけないのよ。
いっぺんで良くない?…めんどくさい。」
「まあ、確かにな。それはだるそうだ。」
たいてい表彰される人間は決まってて
俺とも例外ではないから
何となくお決まりのこんな会話をする。
「。」
「はいっ!」
「(……今日、兄ちゃんなのか。)」
今日は珍しく兄ちゃんが表彰状を渡すらしい。
聞きなれた声が体育館に響くと
それが特別に聞こえて何となく落ち着かない。
「不死川玄弥ァ…。」
「は、はいっ!」
何となく数学のテストを返される時の事を
思い出して背がビクリと震える。
今回は表彰式、しかも優勝なんだから
怒られる訳では無いのだが
なんだか無性に嫌な予感がしてしまう。
「……………。」
「………………?」
とりあえずビビっても仕方ないと
段の上で対面したのだが、何故か兄ちゃんは
ピクリとも動かずに片眉を上げている。
何となく気まずい沈黙が流れて
___ザワザワ。と体育館が揺れだした。