第2章 ジビエのスパイシー政宗風ソーセージ 森の薫りを添えて
「ばあか。酒に酔ってるわけじゃない」
「…え?」
「俺が酔ってるように見えるっていうんなら……それはきっとお前に酔ってるからだろうな。……知ってるだろ?俺は酒とお前にはめっぽう弱い」
「………」
「なんだよ」
「…ぷっ」
「っ、笑うな…」
「ふふっ…ごめん」
「お前のせいだからな」
「……私?」
「こんな甘ったるい匂い漂わせながらあんな可愛いことされたら、襲いたくもなるだろ…」
「っ…そんなこと、言われても……」
それについては全く心当たりがなくて、きょとんとする私を今度は政宗が吹き出すように笑う。
「自覚がないんだろう?」
「……うん……私、何かした?」
「教えない」
悪戯っ子のような笑みを浮かべそう言うと、政宗は私の肩口に頭を預けたまま動かなくなった。
「…………政宗?」
「……ん?」
「どうしたの……?」
「お前の匂い、嗅いでる」
「……私、そんなに甘い匂いする?」
「ああ、甘くてすんごくやらしい匂い…」
「いっ…厭らしいって……それ、どんな匂い……?」
「んー……発情したメスの匂い」
「なっ…」
急に恥ずかしくなって、政宗の胸を押し返すより先に腰に回された腕がぎゅっと締まって身動きがとれなくなる。
「っもう…変なこと言わないで…」
せめてもの反撃に厚い胸板をぽすん叩いて顔を埋めながら文句を言うと、腰元の政宗の手がもぞもぞと動き出す。
「っ…ちょ、政宗…ふっ、やだ、くすぐったい……?」
初めはそれを政宗がふざけて私をからかってるだけだと思っていた。
そうじゃないことに気付いたのは…
着物の裾が少しずつ短くなってきているからだった。
「……ね、何してるの……?」
そう言っている間にも、するすると短くなる裾はふくらはぎを舐めるように上り、あっという間にミニスカートになってしまった。
さすがにおふざけが過ぎる政宗に、本当に酔ってるんじゃないかと疑いかけた次の瞬間──