第2章 ジビエのスパイシー政宗風ソーセージ 森の薫りを添えて
ある日、森の中…
それは甘く楽しい逢瀬の最中のことだった。
何が政宗に火をつけたのかはわかない。
目に眩しいほどの青葉…
清々しい若葉の香り…
青空には小鳥が歌う…
そこには似つかわしくない、あまりにも怪(け)しからぬ声が木々の合間に消えていく。
「…あっ……ねぇ、政宗……こんなところで…ぁ…だめだってば…っ」
「何がだめなんだ?そんな可愛い声で鳴いてちゃ説得力の欠片もないな」
初夏の陽気が続く今日この頃…
衣替えしたばかりの薄手の着物の生地を押し上げて、主張する私の敏感なふたつの突起。
存在を露わにしたそれを生地の上から くにくに と押しつぶされ、首筋を這う唇が肌を湿らせていく。
「それより……いいのか?あんまり可愛い声を出すと観客が集まるぞ?この辺はうちの斥候がそこかしこに潜んでるからな」
そう忠告しておきながら、もっと鳴けと言わんばかりに政宗の指が勃ち上がった突起を きゅっ と摘まみ上げた。
「あんっ…」
「こら。何て声出すんだ……まあ、お前が観衆をご所望なら俺は別に構わないけどな」
笑えない冗談を言う政宗に不満をあらわに視線を向けると、その表情に私はふとある疑念を抱いた。
ほんのりと紅く染まった頬…
熱に浮かされたように潤んだ瞳…
「ねえ、政宗?……もしかして酔ってる?」
「……ああ、確かに。酒に酔った時みたいに頭がくらくらするな」
政宗が自分からお酒を飲むはずはない。
となると、その原因となる心当たりはひとつ。
途中、ひと休みするために入ったお茶屋さんで食べた甘味だ。
「……まさかさっき食べたお饅頭お酒入りだったとか?!」
だとしたら、まもなく政宗は落ちる。
脱力した政宗を私ひとりではとても介抱しきれない。
「だったら早く御殿に帰らないと……!」