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★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第10章 幸達磨-yukidaruma-


(今夜もまたひとり、か……)



独り寝の夜の寂しさを思い出して憂鬱になるけれど、私なんかよりいろんなものを犠牲にしている光秀さんに、寂しいだなんて甘えるわけにはいかない。

こぼれかかった溜め息を飲み込んで、笑顔でいってらっしゃいを言うために、私はもう一度光秀さんを正面から見つめた。



「……じゃあ、気をつけて、いって──」

「だから、そのつもりで支度をするように」



光秀さんは腰を上げながらそう言うと、私に背を向け、襖を開ける。



「支度が出来たら厩の前で待っていろ。俺は九兵衛と二三話をしてから行く」



去り際にそれだけ言うと、光秀さんは私の返事を待たず、部屋から出て行った。










「…………」



一人になり、しんと静まり返った部屋。

『いってらっしゃい』の『い』が口角を上げてくれたおかげで、私は満点の笑顔のまま思考停止で固まっていた。



「………ん?」



まだ半分寝ぼけたような頭では状況が理解できず、すぐには頭も身体も動かなかった。

ただ、何か嬉しいことを言われた気がして、私はもう一度光秀さんとの会話を思い出し、頭の中で反芻する。





そして、事の顛末を理解した瞬間──





ショボついていた私の半開きの瞼が カッ と見開く。



「えぇっ!?」



驚きと嬉しさの反動で飛び起き、手櫛で髪を梳かしながら、寝間着を脱ぎ捨てる。



「ちょ、ちょっと、急すぎませんか!?そういうことはもう少し早くっ──」



とっくに去っていった光秀さんに、届くはずのない抗議の声を上げながら、私は慌てて支度を始めた。






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