第10章 幸達磨-yukidaruma-
──夢うつつ──
伸ばした手が空を切って ぽすっ と寂しい音を立てた。
(………)
気怠い身体で布団にくるまりながら、凍てつく夜気に、肌蹴た衿の合わせ目を掻き合わせる。
薄く開いた瞼から、押し寄せる孤独が心まで冷やしてゆく。
(……また、か……)
ひと組の布団の上、片側に寄ったままの身体が虚しい。
慣れたつもりでいたけれど、やっぱり──
独り寝の夜は、寂しい。
ぽっかり空いた隣に身を捩り頬を寄せれば、微かに感じる彼の温もりと残り香は、埋まることのない虚しさを気休め程度には和らげてくれた。
その愛しい面影を瞼の裏に写しながら、私は再び夢の中へと堕ちていった──