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★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第3章 狐の恩返し~狐目線~


まずは、〇〇の”欲しいもの”は何か、知る必要がある。

あの娘の行動範囲内で、何か品物を見つけるとするならば、城下の市以外にない。

城下町は俺にとって庭のようなものだ。

町中には、敵国の間諜が潜んでいる。

その間諜を監視する間諜として、町人、商人に扮した家臣を忍ばせてある。

その者たちの潜伏先を回り、報告を受けるのも日課の一つのため、

町人同士の痴話喧嘩から、惚れた腫れたの色恋沙汰まで、あらゆる情報が逐一耳に入るようになっている。

その情報網を駆使し、〇〇の動向を探ったところ──

近頃、ある店に頻繁に出入りしているという情報を得た。

それを手がかりに、城下を偵察していると、道端に佇む見覚えのある小袖を見つけた。



(情報通りだな…)



〇〇は露天商の店主と、なにやら親し気に話しているようだった。

気配を消し、近づいて、背後から〇〇の頭越しにそっと覗き込むと、その視線の先には、朱色の小箱があった。



「……ほう、それか。この前言っていた欲しいものとは…」

「ひゃあっ!」



態と耳許で言ってやると、華奢な肩を跳ねさせ、素っ頓狂な声を上げた〇〇がこちらを振り向く。



「光秀さんっ…!」



口元を手で抑えても、まん丸にしたその大きな瞳が、驚きを隠しきれていない。

期待通りの反応に満足しながら、並べられた店の品にざっと目を通す。



「また随分と洒落たものに目を付けたんだな……俺はてっきり、お前が欲しいのは、こっちだと思ったが…」



咄嗟に目を付けた風車を手に取る。



「今度お前が泣きべそをかいたときは、これであやしてやるとしよう……店主、これをもらおう」



無論、〇〇をあやすためではないが、それを本気と取った〇〇が文句を言いたげに俺を睨む。

都合よくこちらに向いた視線の前に、息を吹き掛けた風車をかざしてやる。



(……これを、よく覚えておけ)



ぷう と膨らんだ頬を突いてやりたかったが、そろそろ本気で怒りだす頃合いだろうと、それは遠慮することにした。



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