• テキストサイズ

★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第1章 君が教えてくれたこと


「……〇〇」

「……」

「〇〇」

「…あたっ!」



額を指で ぴん と弾かれて我に返る。



文机越しに間近に迫った光秀さんの整った顔に、思わず息を呑んだ。



「俺の講義を上の空で受けるとは、見上げた度胸だ」

「……すみません」



額をさすりながら謝る私に、光秀さんは溜め息交じりに問いかける。



「何か気に病むことでもあるのか」

「……」

「俺に言えないようなことか?」



意地悪な色香を含んだ瞳に射抜かれ、この後に起こる事態が容易に想像できて、私は慌てて口を開いた。



「光秀さんには、今までたくさんのことを教えてもらってきたじゃないですか…」



この時代に突然タイムスリップしてしまって、右も左も分からない私に、光秀さんはたくさんのことを教えてくれた。

基本の歴史から、戦場での心得に、鉄砲の扱い方、護身術、馬の乗り方まで。

お陰で、この乱世を今日まで無事、生きて来られた。



「……なのに私には光秀さんに教えてあげられるようなことって、ひとつもないなって思ったら、なんだか…自分が惨めに思えてきちゃって……。
光秀さんは博識だし、何でも出来ちゃうし…」



光秀さんと恋仲になってから、ずっと心に巣食っていたその悩みが、講義の邪魔をしていた。

想いを吐き出し、口を尖らせる私を見て、光秀さんが ふっ と吹き出す。



「そんなことか」

「そんなことじゃないです!」



事ある毎に散々私の頭を悩ませてきたことを軽くあしらわれて、ついムキになってしまう。

そんな私を見て、光秀さんは嘲笑を収めると、切れ長の瞳を細め優しい笑みを浮かべた。



「お前は俺の隣で笑っていれば、それでいい」

「……それって、私は何もしてないじゃないですか…。
光秀さんの傍にいる限り、こう…対等でいたいっていうか……」



(光秀さんは、何でも知ってるし、何でも器用に出来ちゃうし
人の心まで読めちゃうくらいだし……)



いくら考えても、私が光秀さんに教えてあげられるようなことなんて、ひとつも見当たらない。



(だけど、与えてもらうばかりじゃ……)


/ 126ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp