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★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第3章 狐の恩返し~狐目線~


からかって、苛めて、その愛らしい表情を傍で愛で、ほんの一時、憩えれば…

初めはそれでよかった。

だが、人というものは一つ満たされると、また一つ、

欲が生まれる生き物で…

束の間の憩う場所をくれた〇〇へ、心ばかりの恩返しとして、



(何か喜ぶようなことをしてやりたい……)



己の中に僅かに残っていた人の心が、そんな想いを芽生えさせていた。










「っ……!光秀さん、見てください!ど真ん中!」

「ああ。見事だ」



自ら放った鉄砲の弾が的の中心を射抜き、〇〇が声を上げて喜ぶ。




初めは間者と疑ったが、それはこの娘と数日過ごせば呆気なく晴らされ、

次は、予想だにしない言動が面白くて、からかって苛めるも一興と、監視という名目で指南役を申し出たが…

今、そんな名目は既に意味を成していない。

確かに此処に燻る想いは、〇〇と同じ時を過ごすにつれ、熱を上げている自覚はあるが…

それは決して〇〇が知ることはない。

地獄まで持っていく想いだ。

〇〇にとって俺は、善人か悪人かわからない、腹の底の読めない意地悪な指南役でいい。

(俺とお前の間に、余計な情など要らない……)





「だいぶ上達したな。えらい、えらい」

「光秀さんのおかげです。ありがとうございます!」



出逢ったばかりの頃は、吹けば飛ぶように頼りなく、鉄砲に触ることすら怯えていたほどだというのに。



(……随分と逞しくなったものだ)



どこから来たのか、何のためにここに居るのか、聞くつもりはない。

出自や身分など、生きていく上で其ほど肝心なことではない。

ただ、さぞ恵まれた生い立ちなのだろう。

危機感の無さや、純真過ぎるところは、少々改めるべきだと思うが、

この娘なりに置かれた状況に適応しようと努力するその健気さが、俺に精気をくれる。


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