第3章 狐の恩返し~狐目線~
こちらは、第2章『狐の恩返し』
よりご覧いただくことをお勧め致します。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*
────────
人を欺き
裏切り
化け狐と呼ばれ妖のように生きる日々のなか
真っ直ぐなその眼で
純真なその心で
嘘偽りで張りつけた皮を剥がし
束の間 俺を人に戻してくれる
闇に生きる覚悟を決めた日から陽を見ることなどもう二度と無いと思っていた
闇を切り裂くように現れた一縷の光は
暗闇で冷えきった身体にぬくもりを与え
疾うに捨てたはずの温かな場所をくれた
今際の際に思い出すのはきっと
〇〇と過ごしたそんな温かい日々のことだろう
たとえ志半ばでこの身が朽ち果てたとて
その思い出を持って逝けるなら御の字だ
そしていつか泰平の世が訪れた時──
昔 嘘つきで意地悪な狐がいたと
お前が話す昔話のひとつにでもなれれば
それでいい