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★イケメン戦国★明智光秀と、はぶ・あ・ぶれいく♪

第2章 狐の恩返し


覚えのある香りの記憶を辿っていると、男の子が何か言いたげにモゾモゾし始める。



「…ん?」

「そろそろかえらないと、おかかさまにしかられます」



気付くと、空は茜色に染まり始めていた。



「そうだね。……おうちはどこ?ひとりで帰れる?」



聞くと、その子は織田家家臣のご子息らしく、家はお城の門を出たすぐそばだから一人で大丈夫と、私に一礼して去っていった。



「…あっ、これ、ありがとう。気を付けてね……」



男の子の後ろ姿に手を振って見送りながら、私は小さく息を零す。




こちらに背を向けた男の子の帯に差されていた見覚えのある風車──




同時に、降って湧いた自分の気持ちに戸惑う。




「……そんなわけない」



思わず零れた否定の言葉とは裏腹に、私の足は、一歩、二歩、と動き出す。



三歩、四歩、と進む歩みは、徐々に速度を上げていき──










ついに、私は駆け出した。


















光秀さんがこれを私にくれる理由も、こんな遠回しなことをする理由も、さっぱり分からないし、昨日だって意地悪言われたし…




(光秀さんなんて、嫌い…)




なのに──








嬉しかった。








諦めかけたものが手に入ったからじゃない。







これが光秀さんからの贈り物だと気付いた時…







(そんなわけない…)










意図しない想いを振り払いながらも、駆ける足は止まらなかった。







橙色に染まる景色の中を、息を切らしながら走る。








そして、目指す御殿へと続く道の角を曲がって直ぐ、前方に目的の後ろ姿を捉えた。




「……っ、光秀さんっ!」


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