第11章 【寸話/18禁】化粧直し
「こら、爪が割れてしまうだろう」
光秀さんは優しく窘めながら私を抱きすくめると、ふたりが繋がったままその場に腰を下ろす。
すぐそばに立てかけてあった姿見に映る光景に、私は咄嗟に目を背けた。
「や…」
「仕方ないだろう。針子のお前の指を傷つけるわけにはいかないからな」
腿を持ち上げられ、光秀さんの膝の上で串刺しになった非(あら)れもない自分の姿が、視界の端にぼんやりと見えていた。
そのまま身体を揺さぶられ、天井に向かって突き立てられた杭に打ち付けられる度、耳から注ぎ込まれる品のない粘着質な音は、媚薬となって快楽をそそった。
そして、間もなくやって来る下腹から脳天へと突き抜けていく衝撃に身構えた、その時…
内腿から滑り込んだ指先が、剥き出しになった花芽を押しつぶした。
「あ…だめぇっっ……!」
途端に私は悲鳴のような嬌声を上げ、身に余る快感が飛沫(しぶき)となって吹き出した。
逞しい胸にくたりと背を預け、震える身体を自分の腕で抱き締める。
「〇〇」
「っ!…喋っちゃダメッ…」
繰り返される絶頂にどこもかしこも性感帯と化した私の身体は、鼓膜が震えただけで快楽が走ってしまうほどだった。
もう抗う術がなくて、ただ両耳を手で覆って荒い呼吸を繰り返していると、顎を捕えられ正面を向かされる。
その先に見えるものを想像して、私はぎゅっと目をつむった。
「〇〇、目を開けろ」
耳に当てた手をやんわりと外されても、目は固く閉じたままでかぶりを振ると、迫るような低い声が囁く。
「もっと酷くされたいのか?」
ドキリとした。
どこかでそれを期待する自分がいることに。
怖いもの見たさの好奇心で、このまま目を閉じていようとも思った。
だけど、今は…
この好奇心の先にあるものを知るのは、まだ、少し、怖い。
私は固く閉じた瞼をそっと持ち上げた。