第11章 【寸話/18禁】化粧直し
その苛烈で濃密な口づけは、前戯としては十分だった。
背中から光秀さんが覆いかぶさるようにして私を壁に押し付けて、裾から忍び込んだ手が、腿の付け根を指先で探るようにそろりと這う。
「っ…」
「──ああ、これは不好(いけない)……」
その指が私のイケナイことになっている場所を突き止め、態とらしい口調で、私の反応を愉しむように、言葉の愛撫が鼓膜を侵す。
「そんなに俺の口づけが良かったか?」
ふたりしかいない部屋で、ふたりにしか聞こえないように潜めた声が、やたら厭らしい。
「こんなになって可哀相そうに……。辛いだろう?……すぐに慰めてやろう」
そう言う吐息混じりの気怠い声はどこか愉しげで、見せかけの優しい言葉に宿るのは狂気めいた色情。
”危ない”そうわかって疼いてしまうカラダが恥ずかしい。
そんな裏腹な頭と身体で待ちきれないと涎を垂らしている私の恥口に、十分な硬さを持った甘い欲棒が慰めを与える。
「はあぁぁ…」
そのあまりの甘美な味わいに、思わず背が弓なりに反り返り、わななく吐息が善がり声と混じって口から零れ出ていく。
光秀さんは壁と自分の間に私を囲って、緩やかな律動を与えながら舌を絡める。
それは先程の性急で激しいものとはまるで違う、ねっとりと纏わりつくような口づけだった。
舌や粘膜の感触を丁寧に味わうように、口内をじわじわと浸蝕されていく心地に、もう頭も身体もどろどろに蕩けてしまいそうなのに…
同時にソコで緩やかな律動を繰り返している彼のソレが弱いところを擦り上げるから、もう──
「んんんっ…いっ──!」
激しい緊張と弛緩の反復でびくびくと震える足では身体を支えていられなくて壁に両手をつくと、そこに大きな手が重なり、指が絡み合う。
筋肉質の硬い胸板が背に圧しかかり一層深く貫かれて、堪らず私は壁に爪を立てた。