第2章 君といたい
ずっと立ち止まっていると後ろから、ふわりと藤の香りがして私は後ろを振り向いた。
「あら、さん。どうしたんです?入らないんですか?」
面識はあるけど、そんなに関わらない柱から声をかけられて、少しびっくりした。
『え、あっ、入りますっ』
「丁度良かった。なら、この薬を炭治郎くんに渡してください。」
『わ、私がですか!?』
柱からの頼みを断ったら駄目って思ってる。けど、炭治郎くんに渡すのはドキドキすると言うか、緊張すると言うか....。
「炭治郎くんに会うんですよね?」
『....はい』
──蟲柱さまは気付いているのかな
そんな事を考えていると、蟲柱さまはにこにこと笑みを浮かべて私の手を取り、どうぞと両手に薬を置いた。
よろしくお願いします、とその言葉を聞くと蟲柱さまは蝶のようにふわふわといなくなった。
『え、........どうしよう』
私は手に薬を持ったまま、また立ち竦む。