第1章 暗闇
雪華「父をご存じでいられるのですか?」
マダラ「ああ。
“非道な男として道徳の線を理解しない異常者”とか言われていたな」
雪華「!」
頭領のご子息にまでこう認識される父は、もう末期なのかもしれない。
一族という誇りに取り付かれ、戦に浸り、我欲を満たすだけの存在となった父はもう救いようだないだろう。
雪華「何か父のご無礼がございましたら、何なりとお申し下さい。」
これをきっかけに父をどうにかできれば、おいしい話しだ。
毎回早くに家を出ていて正解だったかもしれない。
マダラ「俺の目に止まらずともいずれあいつは己で身を亡ぼす。そう未来がみえる」
雪華「未来ですか?」
マダラ「確か妻を殺したと聞いた。違わないか?」
雪華「っ、はい、それは確かです」
マダラ「動機は知らんが・・・子を五人も成しえて妻を殺す。あいつの心持が理解しがたい。」
それは、強く深く同感の念を抱く。
けれどわからないのだ。実の子供にも。
雪華「私でも、よくわかりません・・・」
父のあの目が見据える先は?求めるモノは?成しえたい事は?
父の恐怖が私を従えさせ、父の目が私を押さえつける。 何も、わからない。
ふとマダラ様を見ると、まっすぐと前を見据えていた。
私は登りかけの太陽を目に捉え、少し眩しさを感じ目を細めた。