第1章 暗闇
翌日案の定体は軋むように痛かった。筋肉痛のようで、そうではない不快な痛みだ。
いつも通りに準備を整え、鏡の前に立ち顔を見れば、自分でも気づいてしまった。
雪華「(お、んなの・・・かお…)」
隠し通せるか、どうか。
男と偽るにはいささか女性らしすぎる顔になっている。
確か、“女は交わりをするといっそう女としての色気が磨かれる” と、年増の男性たちが話していたのを聞いたことがる。
それが、これ・・・。愛などない。好きでもない。むしろ大嫌いで畏怖の念がある人間に抱かれたというのに結果がこれだ。
やはり女は醜いのだろうと再確認させられる。
気を取り直し両頬を強く叩いて、玄関をでる。
まだ少し暗がりの見える空は、太陽の登りで幻想的に綺麗だった。
その光景も私が女として好きな景色だから、女でいられる気がしていた。
こうして景色を楽しめるのは、もしかしたら女だからなのかもしれない。
集合場所につけば、いつもは一番乗りのはずなのに先客がいた。
よくよく目を凝らしてみてみれば、うちは一族頭領のご子息(今日間近での戦闘が言い渡されている)がいた。
私は少し心配(女とバレないか)を心の隅に置きながらご子息に駆け寄った。
雪華「おはようございます、マダラ様。」
真横から声を掛ければやはり気づいていたようでこちらを向かずに返事が返ってきた。
マダラ「ああ…」
ぴょんぴょんと跳ねている長い髪が特徴的なマダラ様は18歳にして、威厳を大人の何倍も持ち合わせており、強さもうちは一族最強と言っても間違いはない。
我らうちは一族と唯一同等に戦える千手一族の頭領の息子、千手柱間と毎回の戦場で互角の戦闘を繰り広げている。
その千手柱間は忍界の神と言われている。
そんなマダラ様は、次期うちは一族頭領であるのは間違いないだろう。
マダラ「・・・お前、どいつの家の奴だ?」
雪華「うちはトウキの息子です。」
マダラ「あそこか…」