第6章 慈しみ
マダラ様が千手で治療を受けている際と同時に私の目も移植した。
これからは必ず必要となってくる目であるわけだから。
約束通りに私が移植を施した。
麻酔いりませんよね、と聞けば、馬鹿言え殺す気か、と冗談を言い合えるようにもなった。
そして、今、約束通りヒカクさんの墓参りをしている。
しっかりと、女性の格好をして。
マダラ様から頂いたうちはらしい黒の生地と、うちはの火遁を思わせる赤の刺繍が施されているお値段の高そうな着物だった。
手を合わせ、目をつむって今までの感謝を伝えた。
ありがとうの一言では収まりきらない思い、守ってくれて、背中を押してくれて、道を照らしてくれて、ありがとう。
これからはあなたのような人になれるように、自分を偽らないで、生きていきます。
そう伝えて、ヒカクさんの顔を思い出せば、そこには優しい顔をしたヒカクさんがいた。涙を流すことはなかった。
一緒に来てくれたマダラ様にもお礼を伝えると、とある話をふられた。
マダラ「あの時言っていた話とはなんだ?」
雪華「??」
マダラ「俺があいつに背負られているときお前が言っただろう。
落ち着いたら話があると」
雪華「…あ、!・・・」
マダラ「話せ」
雪華「い、いえ、深い意味なんてないですから、気になさらずに…」
マダラ「ほう…このうちはマダラに嘘をついたか」
雪華「とんでもない!」
マダラ「ならば話せるな?」
そういって、私の顔を覗いこむ。
グイっと近くなったマダラ様の顔に、私は急に焦って顔や耳を真っ赤にさせた。
それをみてマダラ様は面白そうに笑うから余計に恥ずかしく
なって、顔をそらす。
マダラ「・・・俺から先に話すぞ」
雪華「え?」
姿勢を正し、私の手を取ってその手の甲にチュと音をわざと立たせてマダラ様がちらっとこちらを見てから口を開く。
マダラ「最初はお前を友の忘れ物、友が俺に託していった者として面倒を見るつもりだった。」
語られたのは、あの日ヒカクさんが亡くなって、マダラ様がしてくれた目の移植の日からの話だった。