第6章 慈しみ
季節は廻り冬がやってきた。
実家の庭にはきっと冬桜が蕾を着け、開花を目指しているだろう。
うちはと千手の協定には両一族の皆が賛同はしたものの、どこか反対の声は多かった。
しかし、終戦を皆が喜んだことは確かなのではないだろうか。
火の国大名たちも忍界最強のうちはと千手が手を組んだことで、大いに納得を見せた。
マダラ様と柱間の夢物語の実現に一歩近づいた。と、大名屋敷から帰ってきたマダラ様はどこか嬉しそうに話していた。
各国も、その一方を得てからは争いは沈静化していった。
そして、マダラ様から聞いていた夢の一部、里づくりが開始された。
里には両一族が住まう事を視野に入れたうえに、他にも一族が受け入れる事が出来るようにと十分な土地が確保された。
各一族自由な場所に家を構え、族関係なく、住まいを選んだ。
そこは、いつかマダラ様と柱間が夢を語り合った崖の下に作られた。
協定後、兄たちが命を落としたと聞いたのはマダラ様の体が十分に動くようになってからだった。
なんでも全員が父の盾となったと聞いた。
どこまでも最低で冷徹な父に嫌悪も憎悪もなく、ただただ恐れが生まれた。
しかし、事の重大さにいち早く気づいたのはマダラ様だった。
ただ盾にしたのではなく、それぞれの属性をチャクラごと引き抜いたため死んだ、のではないかとマダラ様は見解した。
事実を確かめるべく、マダラ様自身が父を問い詰めた。
結果、残酷にもそれは事実であった。
眉をしかめたマダラ様は父をうちはの地下牢へと幽閉し、私に
“同族殺しの大罪人として刑を処す、いいか?”と言った。
もちろん良いと答えた。
首を横に振る意味も、思いもない。
けれど、どうして父はそこまで異常者になってしまったのか、疑問は大きかった。今でも、その疑問は拭いきれてはいない。
楔はなくなり、自由になった私は初めて陽の当たる外を女性の格好で歩いた。
髪も伸ばし続けて、協定前から切っていない髪は今では肩を超えて胸の盛り上がりに毛先が乗るくらいには伸びていた。
あらゆる髪型にすることが今では楽しみだ。