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さくら

第6章 慈しみ



 柱間の言葉により、マダラ様と私は千手の領地まで来ていた。


 あの後、マダラ様の傷が思ったよりも重症でだった。

 今使えるチャクラ量も雀の涙程度でしかなく、疑似医療忍術も瞳術も使える状況ではなかった。

 なので千手陣営の医療を借りる事となった。
 
 マダラ様は断ると何度も渋っていたが、私よりも動けないマダラ様を連れて行くのは容易だった。


 道中はなんとマダラ様が柱間におぶられていた。

 私は珍しく面白いその光景を見ながら隣で歩いていた。



雪華「申し訳ありません、マダラ様。命を破り、…」



マダラ「‥‥もう、戦はなくなる・・・」



雪華「?」



 謝罪に対してその言葉に私も驚いたが、柱間も驚いており、一度動きが止まった。



マダラ「お前が、これから偽ることも…なくなる」



雪華「!」



マダラ「やっと、ヒカクの墓参りにいけるな」



雪華「っ、!」


 マダラ様にはすべてがお見通しだった。

 私がヒカクさんの墓参りにいっていないことも、行かない理由も。

 緊張の糸が切れたのか、マダラ様の言葉が私を泣かせたのか、おおよそ後者である。

 そのため、私はぼたぼたと涙を流してしまった。



雪華「、まだら、様の、ばかぁ!」



マダラ「バカだと?後で仕置きが必要だな。」


 マダラ様の笑顔は、なんだかあどけなくて、子供っぽさが出ていて、そして、今までで見た一番の笑顔だった。

 その笑顔が、とても愛おしく思えた。


 ふと目に入った秋桜は蕾が多く、これからの開花を待ちわびさせていた。

 けれど、一つだけ、早咲きしている桜があって、その桜は風に揺られて楽しそうだった。



雪華「マダラ様、落ち着いたらお話したい事があります」



 そういって、マダラ様に今できる一番の笑顔を向ける。

 すると、マダラ様が手を伸ばして私の頭をポンっとした。
 そして、ぐいぐいと乱暴に撫でられた。

 それが照れ隠しだったということは後から柱間から聞いた秘密だ。
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