第6章 慈しみ
遠くから見守る事しかできない。
不甲斐ない、女だからじゃない。
私自身が嫌になる。
信じて見守ると言った。
けどそれが最善の選択なのだろうか。
何かマダラ様と柱間が二人で話していた。
時折、柱間から殺気や静止の仕草が見える。
そして、柱間が甲冑を脱いで、クナイを取り出し自身にあてがって周りの一族に何か言葉を発しているようだった。
察したことは、自害。
考えれば、それは終戦を意味して、逆にマダラ様の後悔を導いているのではないかと察した。
マダラ様の意志を、身を護ることは、私にとってもマダラ様にとっても良い事。
けれど、それで心が死んでしまったら、生きることに意味を見出せるのだろうか。
生きていると言えるのだろうか。
命を失う事は何よりも辛く、悲しく、苦しい事だと十分に理解している。
体は疲れていて、千手を押し切ってマダラ様の元に駆け寄ることも、事を止める事も出来ないだろう。
けど、だからと言ってあきらめたくはない。
もう、昔の自分とは決別した。
背を、優しく擦って、押し出してくれた。
雪華「! (ヒカク、さん?)」
・・・チャクラが、少し、湧いてきた。
目が厚くなって、体が須佐能乎の桃色の光に包まれた。
私は渾身の力を振り絞って、地を蹴りつけた。
雪華「もう、もうやめませんか」
マダラ「おまえ・・・」
柱間「!?」
気が付いたら、私は柱間がクナイを握る手を止めていて、私の手の上からマダラ様の手も重ねて止めていた。
雪華「マダラ、さま」
これでわかった。マダラ様は、もう決心したという事を。
雪華「良いの、ですね?」
マダラ「ああ」
重ねていた手の力が強くなり、柱間は少し驚いたような顔をしていた。
柱間「マダラ?」
マダラ「もう、いい‥
‥お前の腑は見えた。」
その時に見たマダラ様の顔はどこかすっきりとしていた。