第6章 慈しみ
柱間「また昔みてーに水切りは出来ないのか?一緒に」
苦笑いのようで、頼むと言っているような柱間の顔に、マダラはどこか懐かしい気分だった。
けれどその懐かしさも、今では過去でしかない。
無機質な過去だ。
マダラ「そりゃ無理ってもんだ…
俺とお前は同じじゃねぇ…弟も守れない…
それにお前らを信用できない」
柱間「どうすれば・・・信用しれもらえる?」
マダラ「・・・」
ただ柱間の顔をじっと見つめる。
そして閉口は開かれ、どこか悲しそうな表情をしたマダラは言葉を並べる。
マダラ「腑を見せあえるとすりゃ…
今、弟に致命傷を与えるか…己が自害して見せるか…。
それで、相子だ…そうすりゃお前ら一族、信用してやる」
その要件を柱間は真剣なまなざしで聞いている。
すると周りの千手忍たちは声を荒げた。
「言ってることが無茶苦茶だ!」
「弟を殺すか、自害しろだと!?」
「ふざけたことをいうな!」
それを柱間は制する。
扉間「どうする兄者!
・・・この俺を殺すか、それともこんな奴の戯言の為に死ぬのか?」
扉間は兄柱間が、どこかでまだマダラを友と想い、いつかまた笑い合える日が来ると信じていることはいつからか悟っていた。
柱間「ありがとう、マダラ。
お前はやっぱり情の深い男だ。」
柱間は心の内で、マダラが自身に選択肢を与えてくれたことに気が付いたのだ。
弟を殺さなくていい選択肢を。
マダラもわかっていた、弟を持つ兄としての心の内を。
柱間は甲冑を外し無造作に地に落とした。
そしてクナイを取り出し、すぐにでも自害できる体制に入った。
柱間「いいか扉間。
俺の最後の言葉としてしっかり子ことに刻め。
俺の命に代える言葉だ、一族の者も同様だ。」
柱間は弟の顔を見て、周りにいる一族を見渡し口を開いた。
柱間「俺の死後 決してマダラを殺すな。
今後うちはと千手は争う事を許さぬ。
皆の父とまだ見ぬ孫たちに賭けて誓え」
そして、満開の、愛の千手一族らしい笑顔を向け
柱間「さらばだ」
そう言って、柱間はクナイを振りかざした。