第5章 開花
切った。
地面に降り立ちこちらに駆け寄るマダラ様が一瞬難しい顔をされたことに不思議が募ったが、すぐに理解できた。
柱間を切ったのになぜ私の体にはまだ木が纏わりついているのか。
マダラ「あれは木分身だろうな…面倒臭い」
雪華「申し訳ありません、お手数をおかけしました」
つまり、私を開放するために木分身と分かっていて切ったという事だ。不甲斐ないにもほどがあるだろう…。
須佐能乎の片手で木を切って開放してくれた。
雪華「ありがとうございます。
扉間は足止めできたのですが、やはり柱間は難しいです」
マダラ「扉間だけでも止めておくだけでやりやすくなる。
あいつも女に足止めされたと知れたら、それこそ立てんだろうな」
雪華「からかうのはよしてください。」
マダラ様はよくからかってくださる。
それが、優しさからのからかいなのはすぐにわかる。
それは私が落ち込んでいるときや、思いつめているときによくしてくれるからだ。
今の状況もそうだ。
この人は、とても素晴らしいお方だ。一言では表し切れない。
そう言う方なんだ。
雪華「回復します。」
マダラ「ああ」
マダラ様の背に回り、手をかざしてチャクラを変換して流し込む。
同時に瞳術も発動させて軽い傷以外で直した方が良い場所の時を戻す。
雪華「いかなる理由においても、決して無理はなさらないでください」
マダラ「無茶を言うな…奴の前では自制できん」
雪華「ならば状況を判断して私が止めます。
それくらいは側近として当然の務めでしょう?」
もう、失いたくない。
唯一だったヒカクさん以外にも、こんなに心から想う相手が出来た。
失うことが怖いと思えた。
失うばかりだった今までを、どうか変えていきたい。
もう現れないと思っていた唯一を、花開きそうな蕾を、守りたい。