第4章 変化
そして数日後。
マダラ「荷物は?」
雪華「ほぼ運び終わりました」
マダラ「そうか」
わざわざ荷運びの人員を手配してくださり、無事に引っ越しは完了した。
今は我が家の居間に、マダラ様お通ししてお茶をお出ししている。
雪華「ほんと、誰も挨拶に来なくて申し訳ありません。」
家にいるのに挨拶にさえ来ない兄たちと父、一応家族としては情けない思いが募る。
マダラ「こちらからも言葉を交わす気はない。
それより目の具合はどうだ」
雪華「大分落ち着きました。
勝手に発動してしまう時も多くありましたが制御できています」
マダラ「そうか。
…俺も時が来ればお前の目を移植するとしよう」
雪華「では私が施術しましょう。側近として」
マダラ「ああ」
本当この人は意外と優しい。
イメージでは怖くて、仏頂面で、悪戯なんてしない大人っぽい人だと思っていた。
それが、こうして接することが出来るのは嬉しいし、新しく生まれ変わりたい自分をどこか支えてくれている気がしてならなかった。
雪華「あの、散歩にでも行きませんか?」
マダラ「散歩?」
雪華「ええ。
先日夜道を歩いていた時に出向いた先がとてもきれいな花畑だったんです。
ぜひ日々のお疲れを癒していただきたいと…」
マダラ「俺は…女の様に花で癒される柔い心を生憎と持ち合わせていないが」
雪華「…確かに、そうですね…」
マダラ「まぁ部下の言葉に乗るのも悪くはないだろう。
茶、馳走になったな。行くぞ」
雪華「はい!」
春に向かって冬が終わりを目指していた。
庭の冬桜は花びらが落ち切って枯れ木となってしまった。
けれど、その隣には春桜があって、その春桜にはこれからの蕾がいくつか見つけられた。