第3章 芽吹き
私は、かってにヒカクさんは私だけどと思っていた。私の唯一がヒカクさんだったから。
雪華「ご、めんなさい、…自分、ばかりっ、!」
なんて自己中なんだろう。これじゃあの最低な家族と同じになってしまう。
雪華「私、ひとり、…ヒカクさんは、みんなから、慕われて…」
俯けば地面にしずくがポタポタとシミを作る。
女、の自分。
そんな私の言葉何て気にもせず、ただ頭をマダラ様は撫でてくれた。
マダラ「やはりお前は忍に向いてないな。
そう鼻で笑われた。
少しくすぐったかった。
マダラ「どうする、本当にヒカクの目を移植するか?」
そうか、そうだった。
雪華「…はい。
ヒカクさんの目で、私の未来を歩きたいって思います」
下しか見ていなかった目の前が、明るくなった気がした。
背中をさすってくれるヒカクさんの温もりを感じた。
マダラ「そうか…」
雪華「け、けど、そうなると私の目が流れ的にマダラ様に…」
マダラ「…お前の目なら悪くはない。」
雪華「そうですか…」
マダラ「移すぞ、麻酔するか?
それとも痛みを耐えてみるか?」
悪戯っ子の笑みで言われて、ちょっとびっくりした。
雪華「ま、麻酔をお願いします…」
マダラ「するに決まっているだろう」
バカだな、なんて言う様にそう言う。
雪華「な、‥‥マダラ様はヒカクさんと違って意地悪ですね」
マダラ「あいつと俺を比べるな。
違いが多すぎる」
雪華「そうですね」
少し、元気が出てきたような気がした。
新しいこの目で、未来を進む。これが今日からの私だ。
ヒカクさん、強く生きます。だから見守っていてください、それとまたいつか褒めてくださいね。
帰りの道は隣を歩く兄に嫌悪感を抱きながらも、新しいこの目で沢山の物を見ながら帰った。
まだ身は男を偽っているけど、いつかしっかりと女になれたらヒカクさんのお墓に手を合わせに行きます。
マダラ様とも仲良くなれた気がします。
沢山、話せることがありそうですよ、今度は笑顔で話します。