第3章 芽吹き
マダラ「泣くな、忍か?」
雪華「、なりたくなかった!忍なんて!
けど、私は忍として、男と偽らないと生きる事さえできなかった!
あなたにわかるの!?この苦痛が、憎しみが!
これほどまでに自分の生まれを呪ったことはないでしょ!?」
つい歯止めが利かなくなった言葉を並べながら、マダラ様の高い位置にある胸ぐらを掴んで叫ぶように泣きじゃくる。
なぜも女は涙腺がこんなに緩いんだろう。
雪華「・・・本当は、普通に恋をして、憧れて、恋で悩んだり苦しんだりしたい。
普通の女として、生きていきたかった…」
マダラ「…すっきりしたか」
雪華「…まだ、全然‥」
マダラ「ならすべて吐いてしまえ。此処は外からは何も聞こえない。」
雪華「ッ、…」
マダラ「どうした?」
雪華「もういない人に、恋をするのは辛い…」
マダラ「…ヒカクとはガキの頃からの付き合いだった。
幼い頃は俺が悪さをすれば年上のあいつが良く叱りに来ていたな…
ああそうだ。
あいつの作る稲荷寿司はうまかった、毎年誕生日には必ず作っては俺に無理やりにでも食べさせていた…
あれは、あいつなりの祝いだったんだろうが俺からしたら有難迷惑だな」
目を伏せて、少し微笑みながら話すマダラ様。
きっと、ヒカクさんとの思い出を巡らせているのだろう。
なんだか、すごく優しい笑顔だ。
そういえば、ヒカクさんが一度話していた。
昔からの付き合いで弟の様に面倒を見てしまう男がいる、と。
マダラ様の事だろう。