第3章 芽吹き
マダラ様に連れられてやってきたのは寝台と簡易な医療道具のある少し暗い部屋だった。
部屋の中に入る。戸を閉めるマダラ様がこちらへ振り向く。
またも先ほどと同様にジッと私の目を、私を見る。
マダラ「お前、女なのか」
唐突に出された言葉に多少驚き口ごもってしまったが、偽りの面で嘘を吐いた。
もちろん今は男性の姿。
もしかしたらバレてしまうと考えなかったわけでもないが…
雪華「! いえ、男です。」
マダラ「にしては女々しく泣いていたな。あれではヒカクも安心して逝けないだろう」
雪華「っ、仲良く接していた相手が死ぬことに涙を流してはいけないのですか」
マダラ「まぁ忍としては宜しくないな」
雪華「そ、…そうですね」
ごもっともなことを言われ返す言葉が見つからなかった。
マダラ「それにあのうちはトウキの息子がああも泣きじゃくらんだろう。あの息子ら四人は俺も認める異常者だ。そいつらの弟のお前があれではな。」
雪華「っ、…」
マダラ「今ここで脱がせることも俺はたやすいぞ」
雪華「…正直に申します。
ですがどうか黙っていてください!」
マダラ「無償で?」
雪華「あなたのお役に立ちます!命を、差し出します…」
マダラ「ヒカクに預けられた女に命を差し出されてもな」
雪華「!」
マダラ「あいつが俺に頼み事などこれで二度だけだ。わかるか」
雪華「?」
マダラ「お前を唯一女として接してきたあいつは、ただの優しさだけではない。
愛を持って接していたんだろうな」
雪華「・・・!? 、ヒカクさんが… ぅ、う…」