第4章 我妻善逸
「いや…あの…」
善逸はしどろもどろになって、目すら合わさない。
「なら退いて欲しいんだけど」
「実は…」
善逸が何かを言おうとした瞬間、美術室の扉が勢いよくあいて、宇髄先生が出てきた。
「おーおーてめぇら、下校時間近いからもう外でろよ〜」
それだけ言うと、宇髄先生は職員室へと戻っていった。
「…一緒に帰らないか?」
「へ?」
思いがけない問いに私はマヌケな声が出た。
なにを話すつもりなんだろう…
でも、これっきりで善逸とは一緒には帰らないって言ういい機会なのかもしれない。
「…いいよ」
私たちは2人で靴箱に向かった。