第4章 我妻善逸
「あっ!おはよう〜〜♡」
彼女が来た。
私は善逸から背を向けて、教室へと向かう。
ーちっ、なによ。デレデレしてさ
今すぐにでも昔に戻りたかった。
その日は学校で善逸に会うことはなかった。
私は帰ろうと思って靴箱に向かっていると、誰かが目の前に立ちはだかった。
「あ、綾川じゃねぇか」
「宇髄先生」
風船ガムを膨らませて、パーカーのポケットに手を突っこんでいる宇髄先生が私に話しかける。
「我妻がさ、さっきすげーわめいてたぞ」
パン、と小さい音を立てて、風船ガムが割れると、宇髄先生は口の中にそのガムを戻して、また噛み始めた。