第4章 我妻善逸
「あ」
「あ」
朝、善逸に会わないでおこう…と思って、いつもより5分早めに出たのに、玄関を開けた瞬間に出会ってしまった。
私はそろ〜っと扉をしめる。
「えええええなんでええ!!!」
扉を背にして、私はカバンを抱きしめた。
すこし籠城してたら善逸のことだから諦めてどこかに行くだろう。
「沙織〜〜〜!!俺、お前にも嫌われたら生きてけないよおおおおおおお」
ー朝っぱらからほんとにご近所迷惑…
彼女いるくせに、私に嫌われても大丈夫なんじゃないの?
そう思うとまた涙が溢れそうだった。
すると、ぴたりと善逸がわめく声が止まった。
ーもう諦めたかな?
私はドアをもう一度開けた。すると、泣き腫らした目をした善逸がまだそこにいた。