第4章 我妻善逸
ぽんぽん、と背中を叩いて安心させようとしてくれている。
その優しさが余計に心に染みて、涙が溢れて止まらない。
「む…むむ!む!」
禰豆子ちゃんが私の顔をのぞきこんで、手に持っていた今日行くとこのマカロン屋さんのチラシを見せて、満面の笑みを浮かべた。
ーこれ食べて、元気だそうってことかな?
「ね、禰豆子ちゃああああん」
私はそのあと、剛力な禰豆子ちゃんに引っ張られてマカロンを頬張った。
「ねー、誰か見てた気しない?」
キスをしたあとに彼女はそう言った。
俺は耳がいいから全部分かるんだ。
「ん〜、そう?俺、分かんなかったけどな?」
あの音は…沙織のだ。