第4章 我妻善逸
「うげ!だから鼻水!」
善逸は前から私に抱きついてくる。
「ちょっとやめて!彼女に慰めてもらいなよ!」
「はっ!そうしよう!」
私が無理やり善逸を剥がしてそう言うと、善逸は彼女の名前を呼びながら走っていった。
ー好きなのは私も一緒なのに
私はスカートの裾を握りしめた。
あいつ、鼻水つけたまんまどっかいきやがって。
カーディガンを脱いで、背中の鼻水を拭く。
わたしと善逸は幼なじみだ。
家が近くて、幼稚園、小学校、中学校、高校と一緒で親同士も仲が良い。
小さい頃は一緒に砂場で遊んだり、お風呂はいったりしたり…
小学校のとき、善逸が雷に打たれた瞬間もその目で見た。
ずっと家族のように一緒にいて、いつの間にか好きになっていた。
ーま、善逸はあんなんだし…
女の子なら誰でもなりふり構わず声をかけに行くところはずっと変わらない。
でも、なにかあったら1番に私に頼ってくれる。
彼女がいる今はあんまり良くないと思ってても、やっぱり嬉しいからやめられない。
ーはやく諦めよう