第20章 冨岡義勇
「好きだ、沙織」
突然に放たれた言葉に私は言葉を失った。
「え…?あの、もう施術は終わって…」
「そういうことで言ったんじゃない」
冨岡さんは私をぐるりと回転させて、正面に向かい合うようにする。
すると、少し頬を赤らめて恥ずかしそうに口を真一文字に結び、真剣な目をしている冨岡さんと目が合った。
「入社した時から可愛いと思っていた。俺が口下手でいつも課長に怒られるのを助けてくれるお前のことがいつの間にか好きになっていたんだ」
胸が高鳴る。
暖かい感情が胸の中に渦巻いて、私は冨岡さんを見つめる。
「だから…俺と、本当の恋人になってくれないか」
再び優しい空気が流れ始めた。
真っ直ぐに私を見る瞳。