第1章 美術教師 宇髄天元
ーよし、なんとか切り抜けた…
とりあえず、美術の課題は出しとこうと思い、私はカバンの中を探った。
「あれっ、あれれ?」
いくら探してもない。
私はサー…と血の気が引いていくのを感じた。
まさか、走ってる間に落とした?!
あの時は、走るのに精一杯で記憶がない。
ーもう!私のバカ!!
それを宇髄先生が拾ってたりしたら…身バレ必至だ。
私は天井を見上げると、何だか1周回ってどうでもよくなり、家に帰ってご飯をたべたい気分になった。
職員室に向かうのをやめて、靴箱に向かう。
ーあ、あれって
1番奥にある高校三年生が使う靴箱のフタを開けている女の先輩が目に入った。
するとさっき見たあの光景と重なる。
ーもう出てきたんだ…ということは先生もうろついてるかも!!
私は再び弾かれるようにして足を動かし、帰路についた。