第20章 冨岡義勇
「なぜ今日はこのマッサージを?」
「実は、彼氏に振られちゃって…」
ふくらはぎをぐいぐいと揉まれるとむくみが取れていくような気がする。
冨岡さんの手は太ももにうつると、リンパを親指に力をこめて、上下に手が動き出した。
「冨岡さんこそ、どうして施術師をしているんですか?」
「スキマ時間で出来るし…結構稼げるからな、それに、同じ会社のやつと会わないだろうと思っていたが…」
その先は言わなくても分かる。
私たちはこうして客と施術師として出会ってしまった。
「それでなぜ彼氏に振られたんだ?」
「私結構傷付いてるのに、掘り返すんですか?」
「…す、すまない」
「いえいえ、別にいいんですよ」