第20章 冨岡義勇
後ろを振り返ると、総務課の花、胡蝶しのぶ先輩がいた。
「みたいですね…」
「今度はなにをやらかしたんですかねぇ?」
「いや、あれは完全に部長の伝達ミスなんですけど、冨岡さん、全然それ言わないので…」
冨岡義勇。
私と同期で入社してきた。
仕事は出来るし、顔はイケメンだからモテるが、圧倒的に口下手。
こうして冨岡さんはたまに全く悪くないのに怒られる時がある。
「…私、部長に言ってきます」
この状況に耐えられなくて、私は席を離れて、部長の横に立った。
「あの、部長…」
私は部長にあれこれと冨岡さんが悪くないということを話した。
すると、部長も落ち着いてきたのか大人しく納得してくれた。