第20章 冨岡義勇
翌日、私は少し赤くなった目の周りをコンシーラーで全力で隠して出社した。
「はぁ…」
ーマグロ、かぁ…
「だから君は何度言ったら分かるんだね!!」
突然怒号が聞こえてきて、私は肩を震わせた。
みんなから千と千尋の〇隠しの豚というあだ名をつけられている部長が早速怒鳴り出す。
大体、一日の最初の怒鳴り声をあげられるのは彼と決まっていた。
「何か言ったらどうだ!ん?!」
部長に凄まれても眉をピクリとも動かさず、飄々とした態度で部長を真っ直ぐに見る。
「あらあら〜、また冨岡さん、怒られてるんですかあ?」
ちょっと間延びした柔らかい声が聞こえてくる。