第19章 数学教師 不死川実弥②
ヤクザにカツアゲされる人ってこんな気分なんだろうと一瞬思い、私は読んでいたエロ漫画のタイトルを読み上げた。
「『満員痴漢電車 〜この電車の終点は絶頂です〜』…です」
取り調べをうける犯人の気分にもなってきて、私は身体を小さく丸めた。
「お前…質問に正直に答えるか、俺に殺されるかどっちか選べェ」
「正直に、答えます…」
「懸命な判断だァ、沙織はこういうことがしたいのかァ?」
「はぇ?」
なぜ読んでるとか理由を聞かれると思ったのに、少し斜め上にズレた質問に私は間抜けな声を出してしまった。
「答えねェのか?なら死んでもらうぜェ…」
「いだだだだ!言う!言うから!」
実弥の怪力で頭を掴まれると骨が何かがミシミシと軋んだ音がしている。