第17章 【下弦の伍】累
累くんは目を見開いていると、ふふっと笑う。
「僕のこと?」
「うん」
「君は面白いね、食べようと思ったけど…食べないでおこう」
ー食べる?お菓子のことかな?
私は累くんの言葉に首を傾げた。
「見てて」
累くんはおもむろに両手の手のひらを合わせてぱっと肩幅くらいに広げると、手のひらを繋ぎ合わせるように糸が美しい幾何学模様を紡いでいた。
「わぁ…!すごいねぇ!あやとり??どこから糸を出したの?」
累くんの方へと身を乗り出して、まじまじと手のひらを見る。
きらきらと月明かりを反射して糸は輝いていた。
「あやとりって、なに?」
「え?これのことだよ、あやとりじゃないの?」
「へぇ…これ、あやとりって言うんだね」