第17章 【下弦の伍】累
「こっち来て」
累くんに導かれるまま、私は山奥を歩いていった。
しばらくした所で、累くんは止まる。
「ここが僕の家。おいで」
目の前には平屋があった。
窓は少しボロボロになっていて、屋根は所々かけている。
姉とはぐれた私は心細くて累くんの手を握り返し、累くんの家だという平屋に入っていった。
「座って」
客間のような所に通されると、累くんは私の目の前には座った。
丁度その後ろには大きな満月が月光を放っている。
「…きれい」
幼いながらに私は感動していた。
白い月明かりに照らされる目の前の美しい人。