第17章 【下弦の伍】累
それは夜道を散歩していた時だ。
姉と散歩していたはずの私は途中で姉とはぐれてしまい、物騒な山の中で迷子になっていた。
「おねぇちゃーん、どこー?」
目からは幾度となく涙が溢れ、暗闇が私を食べてしまうのではないかと不安になってくる。
足は疲れきってしまい、私はその場に座りこんでしまった。
「君、どうしたの」
声がして、私は顔を上げると、白い顔の男の子が立っていた。
背丈は私より少し高いくらいで、顔には赤い丸の模様が書いてある。
後ろから手が生えたような白い髪の毛は左目を隠し、見えている右目は若葉色まつ毛をたずさえ、瞳は血のように赤い。
「あなたは…誰?」
「僕は累。君は?」
「…沙織」
日本人で白髪だなんておばあちゃんしか見たことない。
外国人なのかな…と思っていると、累くんは私の手を掴んだ。