第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
放課後になって、私は誰とも口をきかずにそのまま学校を飛び出して、悲鳴嶼先生の家に着いていた。
表札には悲鳴嶼と書かれていて、和風の御屋敷だった。
震える指でインターホンを押すとスピーカーから聞き覚えのある声が聞こえた。
「どうぞ」
ー悲鳴嶼先生だ…
本当に来てしまったんだ。
私は木で出来た扉を開けて、玄関に入る。
真ん中にポツンと悲鳴嶼先生の靴があるだけで、その他は何も無くもの寂しかった。
「来たのか」
靴を脱いで家に上がった私の目の前に普段の格好のままの悲鳴嶼先生が立っている。
「はい…」
「そういう意味になる…分かっているな」
これからここで…そう考えるだけでキャパオーバーしてしまいそうだ。
私はこくりと頷いた。
「では、寝室へ向かう」
「きゃ!あの、歩けます私…!」