第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
「あ…」
その手は疼いている部分を触ることなく、太ももの付け根を指先で優しく撫でるだけだった。
「この続きがしたいのなら…ここに来なさい」
悲鳴嶼先生は机に小さな紙切れを置いて、椅子から立ち上がり、図書室を出て行った。
ー何なんだろこれ
冷めない熱をぼんやりと抱えたままの私は半分に折られた紙切れを開ける。
紙切れには悲鳴嶼先生直筆と見られる地図が描かれていた。
「もしかして…家に来いってこと…」
どういう意味なのか、それは本当なのか。
色々聞きたいことは多かった。
でも、悲鳴嶼先生はもう図書室を出て行ってしまっている。
生徒と教師。
大人と子供。
どう見たって誰が見たってイケナイことだ。
ーでも…
この身体の疼きを止めてくれるのは、いや、そうじゃない。
止められるのは、悲鳴嶼先生だけなんだ。