第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
「…綾川、先程も君は私が我妻に罰を与えている所を見て少し息を荒らげていたな…」
「っ…あの…」
悲鳴嶼先生の手が私の頬を包み込む。
じんわりと温もりが伝わり、あの日のことが蘇ってくる。
好きだという気持ちが心臓をうち鳴らす。
「頬も熱い…これより先を期待しているのか…」
静かにゆっくり話す悲鳴嶼先生は私の頬から手を首筋に滑らし、腕をなぞって、腰を通過していき、太ももに辿り着く。
こそばゆい感覚が伝わって、私は小さく震えた。
「抵抗もしない…いいのか?綾川、抵抗しなければどうなるか…この小説を読んでいたとしたら分かるだろう?」
低音が耳の奥を刺激する。
さっきから何故か下腹部が疼いてたまらない。
もっと触ってほしい、この疼きを止めてほしい…
「…私…先生になら…」
悲鳴嶼先生の手がぴたりと止まった。
表情は変わらないままだから何を思ったのかは全く分からない。