第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
ーもうちょっと読んでみよう
私はページの端をつまんで少しずつ読み進めていく。
どんどん過激になる描写に目を背けたくなる自分もいれば、胸が変に高鳴って続きを読みたくなっている自分もいる。
「予鈴が鳴っている…」
「きゃあ!」
誰かに右から声をかけられて、私は咄嗟に本を閉じ、右に顔を向けた。
「悲鳴嶼先生…!」
「読書をするのは良いことだ…しかし、予鈴を聞き逃すほど集中するのは良くない」
「あっ、はい…すいません…」
「しかもそれは官能小説だ、君が読むには些か早くないか?」
私は全身が総毛立つ。
バレた。
本当に目が見えてないんだろうか?
好きな人に官能小説を読んでいることがバレて平静を保っていられる訳が無い。
せめて何もヘマをしないように私は唇を固く閉ざすことにした。